チョコミン党と歯磨き粉

チョコミント。ああなんと素晴らしいフレーバーなのだろう。自分はチョコミントが大好きだ。爽やかなミントと甘美なチョコの組合せは、まさに神秘である。ひとくちにチョコミントと言っても、ミントとチョコのバランスの違いでまったく異なる感情を引き出してくれるのがこのフレーバーの素晴しいところだ。

さて、Vivaldi Socialには #ビバ丼チョコミン党 というハッシュタグがあり、そこには大量のチョコミントフレーバーの食品の画像が投稿されている。

しかし、一方で「チョコミントのことを好きだ」と言うと、よく言われるのが「歯磨き粉の味だよね」。発言者はおそらく半分はネタで、半分は本気だ。


この記事を読み進める前に、下記の事項をよくご確認の上、ご笑覧ください。


「チョコミントは歯磨き粉の味」といわれて、傷ついてしまう人も多いだろう。しかし、今日からはこう考えよう。「ミント味の歯磨き粉は美味しい」のだから、これは遠回しの賛辞なのだ。我々が悲しむ必要は微塵もないのだと。

「ミント味の歯磨き粉は美味しい」と言うのには理由がある。実は、「ミント味ではない歯磨き粉」を使ったことがあるのだ。高い効能効果を謳ったもので、なんともいえない香りと味がしていた。効果はあるのかもしれないが、まるで粘土のようなそれを歯に塗りたくりながら、はやくこの歯磨き粉を使い切ることができますようにと祈り続けた。この体験を通して気付いたひとつの真実——ミント味の歯磨き粉は美味しい。

冷静に考えてみれば当然の話。多くの歯磨き粉メーカーが歯磨き粉にミント味をチョイスしているのは、日々の研究開発やマーケティング・感能評価的なものをした上で出た結論だ。さまざまな制約がある中で、多くの人が爽やかさを感じ、躊躇なく口に入れることのできる味がミントのフレーバーだ。つまり、ミントの歯磨き粉は美味しいのだ。

我々はなんとなく、歯磨き粉の味と言われると悲しくなる。しかし、悲しむ必要はない。毎日口に入れることを考慮された歯磨き粉で圧倒的に選ばれているミントの味は、爽やかで美味しい味なのだと思おう。


一方、彼らはどうしてチョコミントの味を「歯磨き粉の味」と認識してしまうのかも考えなければならない。

おそらくチョコミントや、その他のミントを使った食べものよりも先に歯磨き粉に出会ってしまった人たち——彼らは「ミント味は歯磨き粉の味だ」と強く刷り込まれてしまったあとでチョコミントに出会ってしまったのだ。

ミント味のものを飲み食いしないご家庭もあるだろう。とくに同居している家族が「ミント味は歯磨き粉の味だ」と思い込んでいると、チョコミント出会う確率は格段に減ってしまう。そういう家庭ではチョコミントをチョイスしたりしないだろうし、ミントティーだって飲まないだろう。

そういう家庭で育ち、いつしか子ども向けの歯磨き粉を卒業して大人の「ミント味の歯磨き粉」を使いはじめる。はじめてのミントとの接触が歯磨き粉なのだからミント=歯磨き粉の味 となってしまうのも無理はない。

そう考えると彼らに非はない。ただただ運命に翻弄されただけなのだ。チョコミン党は、彼らを責めるでも憎むでもなく、ただただオープンな心で、チョコミントの素晴しさを提示しつづけていくのがよいのではないか。

今年の夏、Vivaldi Socialのタイムラインでも多く見掛けた「明治エッセルスーパーカップ チョコミント」

そして、彼らにオープンな心で接するために、「チョコミントは歯磨き粉だ」と言われても笑顔でいたい。


ところで、チョコミントと言えば夏のシーズン商品が非常に多い。ミントの爽快さで夏の熱気を吹き飛ばすというアイデアは、人類史上もっとも素晴しい発明と言っても過言ではないだろう。その一方で、冬はチョコミントにとって、まさに冬の時代だ。

こんな世迷い言だけで終わってしまうのは心苦しいので、冬でもわりと入手性の高いチョコミント商品をいくつか紹介しよう。

なんてったって江崎グリコはすごい。まず、セブンティーンアイスの自販機には定番商品としてチョコミント味が入っている。ファーストチョコミントがセブンティーンアイスだった人も多いのではなかろうか。

また、ファミリーマート限定の「ぎっしり満足!チョコミント」は冬でも取り扱っている店舗が多い。量も多くて本当にぎっしり満足。2022年に100周年を迎えた江崎グリコは、「すこやかな毎日、ゆたかな人生」という彼らのスローガンの通り、ゆたかな人生に掛かせないチョコミント味をコンスタントに提供し続けてくれている素晴しい企業だ。

パリパリ食感がポイントの江崎グリコ「ぎっしり満足!チョコミント」

また、赤城乳業の「チョコミント」も、冬でもスーパーなどで売っている可能性が高く、入手性がとてもよい。今年からはセルフチョコレートクラッシュという機構を採用し、器のまわりにチョコリングを配置し、食べる際に握って自分で壊すという一種のアトラクションを楽しむことができる。さすがは赤城乳業、「あそびましょ。」なんて洒落たコーポレートスローガンを掲げているだけのことはある。チョコミントでも「あそび」を忘れない。その姿勢が好き。

「日本初」という文字が踊る赤城乳業の「チョコミント」

さらに、セブンプレミアムのチョコミントバーもセブン-イレブンなどに年中売っていて、入手性に優れていると言える。あまり見たことがないという人は、冷凍食品を置いてある冷凍ケースに入っていることが多いのでチェックしてみてほしい。パッケージに「ミント感アップ」と書かれているように、大人しい顔をしていながらミント感強めで、かなりの爽快感を味わえる。自分はこれを買うと、封入されている6本のアイスを一日で食べ切ってしまうので自重している

そして、チョコミントはアイスだけではない。カルディなど、輸入食材や海外製品を多く取り扱うお店に置いてあるミント味のチョコレート各種も実はオススメだ。特に「アンデス」は比較的入手しやすいように思う。2種類あって、クリームミントはミルクチョコレートの間にミントチョコレートが挟まれており甘味が強め、ミントパフェだとミントチョコをミルクチョコが挟んでおりミント感が強めで、どちらも美味しい。バランスが変わればまったく違う雰囲気なチョコミントの楽しさを堪能できる

そう、冬でもチョコミントは楽しめる。もちろん夏に食べるチョコミントは格別だ。しかし、暖かな室内で食べるチョコミント、寒空のもとで白い息を吐きながら食べるチョコミント、冬には冬の魅力があり、爽やかさと甘さが心を癒してくれるのだ。


さて、Vivaldi Socialでは、「甘味部」「麺部」「乾燥剤摂取部」など、たいていの部活動は「部」と付いている1。しかし、チョコミント愛好者たちは「チョコミン党」の名の元に活動している。

今でこそチョコミントは多くの製品も出ており、市民権を得たように思われる。しかし、その裏には「チョコミントは歯磨き粉の味だ」という言葉で、なぜか小さく磨り減っていく気持ち、そしてそれを乗り越えるための団結の積み重ねがこの部名にもあらわれているに違いない……

—— などと、高らかに宣言したあとに知ったのだが、「チョコミン党」という表現は、Vivaldi Socialとは全く関係のない2006年にはインターネット上に存在している。その発端は、入力変換ソフトウェアの誤変換2によるもの。つまり、品鎮3案件で、当然のように輝かしい団結の歴史とかはとくにないらしい。

ぃ……いやあぁ〜〜まぁそんなものなんだろうなとは思ってたっスよ。ほんとほんと、分かってたっスよ、ふへへへ……へ……。で、でもなんかもうここまで書いちゃったっスよ……は……はへ……へ……。

……と、とりあえずですね、「ミントの風味は歯磨き粉に使えるくらい美味しい」と思える余裕が、いつか人々の固定概念を覆すはずなんス。チョコのように自分にも他人にも甘く、そしてミントのように爽やかに生きていきたいっスね。



  1. 老人会など、一部例外もあるが、「党」は唯一無二のはず ↩︎
  2. ニコニコ大百科のチョコミン党の記事を参照のこと ↩︎
  3. 守府の略。Vivaldi Socialの一部界隈で、誤字・脱字・誤変換などを表わす言葉 ↩︎

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