乾燥剤摂取部 その光と闇

Vivaldi Social というマストドンサーバーがある。その名の通り、あの世界的に局所的な人気を誇るブラウザの Vivaldi で有名な Vivaldi Technologies が運営している。グローバルサーバーでありながら、日本語の投稿が多く、多くの日本語で投稿する人たちの多くは、このサーバーの愛称として「ビバ丼」を用いている。

さて、そのビバ丼の片隅でひっそりと、しかし根気強く活動し続けているハッシュタグがある。それが「#ビバ丼乾燥剤摂取部」である。


この記事を読み進める前に、下記の事項をよくご確認の上、ご笑覧ください。


みなさんは「乾燥剤摂取部」と聞いて、なにを思うだろうか。

乾燥剤とは、食品などに添付されているシリカゲルや生石灰乾燥剤などのことを指す。そして乾燥剤には大きく「たべられません」など、経口摂取を禁ずる表現が大きく書かれている。その「たべられません」の権化とも言える乾燥剤を摂取するとはどういうことか。

坂本石灰工業所の「乾燥剤I・C」という乾燥剤のパッケージです。
代表的な生石灰乾燥剤の例

どうということはない。「たべられません」と書いてあるものを摂取しているように見せかけ、その矛盾をおかしむというハチャメチャにイカしてて、とてつもなくイカれたハッシュタグなのだ。


当初は「乾燥剤 mgmg」などといい本当に食べているように見せかけてアップロードしていた。架空の食レポを書いたり、「摂取している感じ」を出すことで、そのアングラ感を楽しんでいた。

しかし、そういった行為が日常化するにつれて、投稿の様相も徐々に変化していった。徐々に「たべられません」にさまざまなブランドがあることに気付いていくようになっていく。

乾燥剤摂取部が食品に添付されている「たべられません」の画像をアップロードすることで、Vivaldi Socialの人々は「たべられません」が存外に多くの種類があり、その一つ一つが愛おしく、意味のある製品であることを知ったのだ。

これこそが乾燥剤摂取部の活動の光である。人々は「たべられません」をより深く認知し、そして学習していったのだ。


こうして、人々に「たべられません」の素晴しさを啓蒙したといっても過言ではない乾燥剤摂取部であるが、そこには「闇」の部分もある。

実は、”乾燥剤摂取部“を標榜しておきながら、実際にアップロードされているのは、下記の画像にあるような、エージレスアンチモールド・マイルドなどの投稿である。みなさんも、普段菓子類を買ったときに、これらの包みを見て、ああ乾燥剤か、と思われていると思う。しかし、これらは厳密には乾燥剤ではないのである。この事実に皆さんは耐えられるだろうか。

代表的な脱酸素剤・エタノール蒸散剤である「エージレス」や「アンチモールド・マイルド」「ネガモールド」が4つ、乱雑に置かれています。
ビバ丼乾燥剤摂取部でよく投稿される「乾燥剤ではないもの」

もちろん「乾燥剤 I・C」や「キングドライ」など、誰がどう見ても「乾燥剤」である画像をアップロードしている投稿もある。しかし、これらの生石灰乾燥剤やシリカゲルの画像は本当に少数。多くは先程も挙げたエージレスやアンチモールド・マイルドなど。これらは脱酸素剤エタノール蒸散剤と呼ばれるものであり、乾燥剤ではない

コンビニで売られているような菓子類にはこういった脱酸素剤・エタノール蒸散剤が食品の品質保持のために使われているが、一方で生石灰乾燥剤は、乾物やおせんべいなどに使われおり、実はまったく別物なのだ。

最初はこういった傾向に対して、いくつかのツッコミも見られた。「たべられません」と書いてあるのならなんでもよいのではないか、と揶揄する投稿すら見られた。しかし、脱酸素剤・エタノール蒸散剤を写した画像の投稿は止まらず、いつしか良心と知識のある人々は口をつぐんだ。


しかし思い出してほしい。「ビバ丼乾燥剤摂取部」は、ほかの部活動とは違う。そのネーミングからして悪ふざけとも呼べる矛盾をおかしむことを意図して作られているハッシュタグである。だからこそ、このハッシュタグを初めて見るとき、ある者は驚き、ある者は訝しみ、その意図を知れば、人々はその面白さに魅了されていく。

そうであれば、脱酸素剤やエタノール蒸散剤を投稿する行為だって、それらを乾燥剤だと思い込んでいる我々の無知をおかしむ行為と考えることもできるだろう……うん、できる……できるっスよね……うん……いけるっス……いけるはずなんス……でないとこの記事の締め方が分からないんス……!!



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