iPhoneを買った

iPhoneを買った。たぶん、必要以上に悩んだ末に。

携帯電話を買うのは4年ぶりとか。まずもって、iPhoneは高い。いや、正確に言えば、Androidだってエンスージアスト向けのちょっと風変りな端末なんかはすごい価格になっているし、ハイミドル的な端末も、けっこう高くなってきている。そもそも物価が高くなってるし……やっぱりそれなりの価格である。

7月に、冷蔵庫の上に置いていたiPhoneを落下させてしまい、運悪くよくないところに当たってしまい、けっこう大規模に画面が割れた。9月には新しいiPhoneが出るしな……と思って待っていたのだが、やはり値段にビビり、今じゃない……今じゃない……と引き伸ばしていた。しかしまあ、誕生日でもあったので、買うか、となったのである。

舶来品らしく買いたいじゃない。

Apple製品は舶来品だ!というイメージが自分の中にあり、Apple Storeに行ってみた。……しかし、9月の発表からすでに数ヶ月経過しているというのに、芋の子を洗うような人だった。おそらくホリデーシーズンと被っているということもあるとは思うのだが……多国籍なあらゆる人々が、iPhoneを触ってはストアの店員に、この色と容量はあるのかと訊ねていたし、店内では「現在、在庫、1TBモデルしかございません!!」と叫んでいて、なんだかこう……ちょっとだけ、魔法が解けた。

たしかに、前回iPhoneを買ったときはまさにコロナ禍真っ只中。Apple Storeも予約制になっていたから、お客さんは、たしか同じ時間に数組ずつ店内に呼ばれる感じで、ずっと店員さんがご案内してくれる。はじめてのiPhoneということもあって、かなりいい感じの体験をした気になっていた。上京してはじめてMacを買ったときも今ほどみんながApple StoreでiPhoneを求める感じではなかったから、かなりゆったりな感じだったし、そういったApple Storeでの体験がすごく良かったので、逆に今回の体験は、すごくキツく、こたえた。

ただ、Macのほうは比較的空いていたので、そちらはまだ「舶来品らしい買い物」ができそうなので安心です。

ケータイの買い方が分からない

さて、そうなってくると、どこで買えばいいのだろう……となってくる。とりあえず大手家電量販店に足を向けた。

家電量販店の中にあるミニAppleストア的な、正直ちょっとだけいけ好かないコーナーに行き(さっきまでAppleStoreに居た人間が言うのもどうかと思うのだけれども)、なんとなくiPhoneを見て、やっぱり高いなぁと思っていると、それっぽいお兄さんが「なにかお探しでしたら……」と声を掛けてきてくれた。名札には某キャリアのマークが付いている。Appleの人でも家電量販店の人でもなく、キャリアの人だ!! 家電を買ったあとで「ところで、実は私、●●のところの者なんですけれどもぉー、ちょっとお時間よろしいですかね。あの、今、携帯電話って、どちらをお使いですか?」と聞いてくる人たちだ!! と、少し警戒しつつも、疑問点もあったし、いい機会だと話を聞く。

キャリアで携帯電話を買うという経験を長らくしていなかった。ずっとSIMフリー版の端末ばかり買ってきたので、キャリアがどういう風に値付けをして、どういう割引があって、さらに家電量販店で買うといろいろな特典などもあるらしい、ということがまるで分からなかったので勉強になったが、そうなると話の着地点としては「家電屋さんでMNPでキャリアを乗り換えれば乗り換えるほど、いろんな特典があってオトクですよ」となる。まあ、そういうお仕事の人なので当然だけど、そういう感じなんだーとなった。

さらに、最近よく聞く「2年後に返すやつ」についても説明してもらった。あれは、とりあえずいったん割賦で売り、2年後に約束した値段で買い取って残りの金額を相殺するという仕組みらしい。いや、なんとなく知ってはいたものの、やはり直接聞くと、なるほど、となる。「2年後に返す」と考えるとドキドキするが、下取りに出すときの結果が決まっていると考えると、あとはそのローンの組み方だけを考えればオトクになるわけだ。

さらに、キャリアの回線の縛りのほうも今はなくなっていて、正直好きなときにまたMNPをしても法的には問題ないらしかった。そしてそのたびに、MNPによる割引とかいろいろが発生するらしく、あー、インターネットでよく聞くやつ!!となった。あとは、でんき・ガスをまとめたり、光回線をそこに変えると、もっとすごい特典が!みたいな感じのようだ。

どちらにしても、MNPをする場合はMNPの予約番号が必要となり、自分の使っているMVNOの場合、少し時間がかかるらしいとのことで、それを取得してから、また後日いらしてください、となったので、お名刺だけいただいてその場を後にした。

一括で買うべ!!と思っていたのだけれど、賢い買い方っちゅーもんがあると知り、だいぶ混乱しつつ、とりあえず使っても使わなくてもいいやと思いMNPの予約番号の手続きをした。

もっと分からなくなる

そのあと、数時間して、MNP予約番号の発行が想像よりもかなり終わったので、先程の家電量販店に戻ってみた。しかし、さきほどのお兄さんがおらず、仕方なくiPhoneを触っていたら、別のお兄さんが話し掛けてくれた。

お兄さんは別のキャリアの人だった。さきほどのキャリアの人の話と比較ができるかな、と思ってお話を伺う。こちらのキャリアの場合、割賦の組立が少し独特な形だったり、どういう風に返済していくかの自由度がかなり低かったりで、固定費が増えちゃうことにプレッシャーを感じがちな自分としては、正直なところ、ちょっと厳しいなと思ってしまった。

また、一度入ったあとに、他社や元いた会社にMNPすることについても訊ねてみると、「もちろん自由ですし、法的にも会社的にも問題ないのですが……やはり、こうして販売する身としては、半年くらいは続けていただきたいなとは思っているんですよね。回線も自信を持っていますし……」とのことであった。半年かー、と思いつつ、その会社やそのサブブランドの通信費を見て冷や汗。しかし、そういう圧こそあったとはいえ、キャリア独自の保障や金額の値付けの差なんかを、あくまでも店員さんの感覚値や印象という形式ではあるものの、かなり赤裸々に語ってくださったので、いい店員さんだった。

そのキャリアは、見積りもササッと印刷してくれたり、営業ツールキットみたいなものがきちんと確立されていたのが印象的だった。資料一式と店員さんの名刺を挿し込める台紙が用意してあって、正直なところ、かなり好印象。自分はこういう「ちゃんとしてる感」にかなーり弱い。

結局、割賦の自由度が低めなのと、一応伝えていた希望のカラーと容量の端末が、そのキャリアは「在庫なし」だったこともあって、「あー、いやほんと、こんな時間に長々といろんなこと聞いちゃって、すみません!!」と言いつつお断わりした。

もっと分からなくなってしまった。大手3社、ぜんぶの話を聞いてみるべきなのか?

経済的合理性という観念を獲得できない

そのあと、あー誕生日には買えなかったなーと思いながらジムに行く。いつものトレーナーさんと、そういう話をちらっとしたら、「お金の価値は相対的に下がっていくのだから、金利0ならば端末を一括で買うよりはローンのほうがお得ですよ」という趣旨のことを言われる。いや、すごく分かる。分かるけど……自分はなんて不器用なんだろう。いや、やはり固定費が増えてしまうことが怖い……!! となり、とりあえずトレーナーさんの指示に従いトレーニングに励むことで心頭滅却した。

帰宅してから、あぁ、自分は経済的合理性という観念を獲得できないんだ! 一生ローン組めない人間だ!! なんてちょっと荒れてみたりした。学生のころに、階層分析による意志決定(AHPってやつ)とかをやっていたのだけれども、ああいうのは、それぞれの項目を冷静に重み付けできる状態にあるという前提が肝要なのであって、今の自分はといえば「300円くらいのお気軽さで最新のiPhoneが欲しい!!と思っている自分」しか浮き上がってこなかったわけです。

気付けばド深夜、うじうじしている時間があまりにももったいないので、「最初のキャリアの人に、結局本体代金はいくらになるのかというところをちゃんと聞こう!」となり、いったん寝ることにした。

ついに買う

翌日、最初のキャリアでどういう風に組めるのかの見積りをしてもらった。昨日の2社目と違って、めちゃくちゃ手書きの味のある資料。でも分かりやすい。とりあえず、なんやかんやあり、普通に4年間払い終えてもSIMフリー版よりお安くなることが分かった。あとは、割賦の構成を相談し、最初の2年間は固定費を抑える方向にした。2年後のことは2年後の自分が考えてくれるよ、たぶん。

それにしても、久々に家電量販店で携帯電話をキャリアから買った。たぶん、そんなのって、vodafone時代以来なかったのではなかろうか。正直なところ、時間はかなり掛かったのだけれど、こういう体験も一度はしたほうがいいな、などとぼんやり考えた。だって、いろんな人が携帯電話を買っている場面を一度に見られるの、めちゃくちゃ面白い。たとえば、隣の親子は、ポーンとええやつ買っていらしたのだけれども、親御さんがなかなか強烈な人で、ただお子さんが音楽ライブの撮影可能なタイミングのときにいい感じに撮影したいという思いを汲んでくれる懐の深い方であったりとか。そういうの、ぜんぜん出会わないので、なんかめちゃくちゃいい時間だった。

で、あとはやっぱり、最初に自分の端末に触れるのがお店の人、というのはかなり気になるところではあった。画面に直接触れないように、タッチペンを使ったりしてくれてはいたし、箱を開ける前に一言ちゃんと断わりを入れてくださったので、良心的ではあると思うのだけれど。でもなんかこう、テープカット的なものじゃない。やりたいじゃない。みたいな気持ちも4%くらいあった。

妖精さんのお導き

さて、電気やガスをうちのグループのものにやりかえれば当日買うものから1万円割引します!的なものについてもお願いしてしまったので、手続きには時間がかかった。過去にはいろいろあったのだろう、ダブルチェック体制もすごいことになっていたが、まあいい。とりあえず、1万円もらえるのだ。ネットでやれば一瞬なのだが、ここで事務作業を眺めながら座っていれば、ほぼデメリットなしで1万円もらえる。

あたらしいiPhoneと大量の紙、そして一緒に1万円の割引を受けることのできるチケットを受け取ってしまった。品物にはいくつかの制限があるほか、1つの品を1万円割り引いてもらえる形なので、このメリットを最大限享受するには1万円以上の買い物が必要となり、なかなか難しい問題に直面する。今、1万円の欲しいものってなんだ……?

とりあえず、あたらしいiPhoneのことはいったん置いておくしかない。このあと予定もあったので、とにかく急いで、家電量販店を上から下まで練り歩いた。なにが欲しいんだ……1万円……でも、余剰分はあまり払いたくない……!! そういえばポイントがいくらかあるから、1万5000円くらいなら……などと、かなり深刻な顔をして歩いた。

人は、急に、時間制限付きの一万円を与えられると戸惑うのだなあと思った。加湿器が欲しかったのだけれど、加湿器にはいろいろな方式があって、事前にちゃんと調べておきたいタイプの自分は、スモークを焚いている舞台の上のような売り場を後にするしかなかった。

そうやって練り歩いて、3回目の音響機器コーナー。1万5000円くらいのヘッドフォンがいいかな、といろいろ見て回っていたときに、ふとゼンハイザーのワイヤレスヘッドフォンの棚の前で立ち止まっていたら、店員さんがふらっとやってきてこう言った。

あっ、ゼンハイザー! いいですよ!! よろしくお願いします!!! あの、今、お値段頑張ってますんで!!

そして店員さんは値札のほうを指差した。ほう……と思って振り返ると、その店員さんはもういなかった。

あのお方はきっと、ゼンハイザーの妖精さんだったに違いない。

ゼンハイザーの妖精さんに出会うなんて経験、滅多にないことだと思ってしまったので、ゼンハイザーの15,000円くらいのワイヤレスヘッドフォンを購入した。だって、いたんだもん、妖精さんが。

あ、新調したiPhoneはよかったです。


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